IoT搭載ラベルプリンタ「FLEQV FX3-LX」と適正値引率・適正値引タイミング算出サービス「sinops-CLOUD AI値引」の連携支援
事例概要
自動認識×ラベルでさまざまなソリューションを展開する株式会社サトーのIoTラベルプリンタに関する協業プロジェクトを支援。
プロジェクト概要
株式会社サトーのIoT搭載ラベルプリンタ「FLEQV(フレキューブ)FX3-LX」(※現在は後継機の「FLEQV FX3-LX Plus」を販売)は、スーパーマーケットなどの小売店で用いられるラベルを印刷できるだけでなく、専用のクラウドストレージでのデータの保管・管理や、遠隔で稼働状況チェックや保守管理を行うことも可能な次世代型のラベル発行デバイスです。
2021年12月、同製品は株式会社シノプスの適切なタイミング・適切な値引き率をAIで算出するサービス「sinops-CLOUD AI値引」と連携。業界初となるAIによる値引き率の自動計算機能がプリンタと一体化したソリューションが実現されました。
当社は、特に協業検討の初期フェーズにおける整理や市場分析、契約交渉面でのサポートを担当。スピード感の求められる協業プロジェクトにおいて、サトー社の目線に立った総合的な支援で、検討から合意形成までをスムーズに進めることに貢献しました。
プロジェクトの背景とスコープ
SDGsの実現や売上高の確保にあたって、適切なタイミングで適切な価格の値引きを行い、食品ロスを減らすことは総菜を扱うスーパーマーケットなどの小売店にとって欠かせないプロセスとなっています。
しかし、どのタイミングでどの程度値引くかの判断が難しく、売り場担当者の経験と勘に頼っていたり、全店一律で値引きルールを決めて運用している場合がほとんどです。その結果、売れ残りによる廃棄ロスや値引きのし過ぎによる値引きロスが課題となっています。さらに値引き業務は、売場にある在庫数を数える、値引き率や値引き額を計算する、必要事項をラベルプリンタに手入力するなどの作業が多く、売り場担当者の負担となっています。
そこでスタートしたのが、「sinops-CLOUD AI値引」と「FLEQV FX3-LX」を連携させることで、AIが計算した適正な値引き率が適正なタイミングで画面上に表示され、該当商品のバーコードをスキャンするだけで値引きラベルを発行できる環境を整備する今回のプロジェクトです。
両ソリューションを連携させることで、過剰値引き抑制、廃棄ロス削減による売上・利益向上を狙いつつ、値引き計算やラベルプリンタへの計算結果への転記といった作業が自動化され、生産性向上や人的ミスの防止、従業員のストレス低減などさまざまなメリットが期待されます。
弊社の支援内容・役割
アーキタイプ株式会社は本プロジェクトにおいて、情報収集や議論事項の整理、市場分析、契約交渉サポートなどを担当しました。
「競合のラベルプリンタメーカーも株式会社シノプス様の技術に注目するなかで、スピーディに交渉を進め、かつ必要な箇所はじっくりと検討したい」
上記のご要望にお応えするにあたって、同じ目線に立って懸念点や検討すべき点を洗い出し、原則として協業に前向きなサトー社ご担当者様のご意向に寄り添った形で支援を実施しました。
また、シノプス社の考えや競合他社の動き、サト―社として絶対に確保したいポジションの見極めなど、現在・将来を俯瞰した視点から市場分析を行い、懸念点の解消に当たっては納得いただけるまで丁寧にサポートに取り組みました。
プロジェクトの成果
2021年12月7日、株式会社サトーと株式会社シノプスの協業により、「FLEQV FX3-LX」と「sinops-CLOUD」の連携とAIを活用した適正値引きアラート機能が実現されることが発表されました。
同年12月24日から実際に「AI値引きソリューション」の提供がスタート。2023年1月には株式会社ロッキーが運営する熊本県内のスーパーマーケット2店舗にて実証実験が行われ、平均で値引き・廃棄ロス率2.3%、粗利率1.4%の改善が立証されるとともに、廃棄商品数や廃棄額の改善といった食品ロス削減効果も確認できました。2023年7月にはロッキー傘下のスーパーマーケット13店舗で、総菜・弁当・おにぎり・寿司など約152品目の値引き作業への同ソリューションの導入が決定しています。
同様に、2022年8月にも2カ月かけてイオン九州で「FLEQV FX3-LX」を用いたAI値引きソリューションの概念実証が行われ、2023年春から導入がスタート。2024年1月のイオン九州への導入実績は242店舗に達しています。
当社がプロジェクトマネジメントに参画した業界初となる「AI値引きソリューション」は着実に市場に受け入れられ、食品ロスの削減や小売店の利益率の改善といった成果をもたらしています。
お客様の声
「当社が市場のなかで置かれた立場や将来あるべき姿を俯瞰し、さらに社内の実情や組織の特徴も理解いただいたうえでプロジェクトマネジメントを担当いただき、‟ソリューションビジネスの拡大”というサトーの将来に利する形でプロジェクトを進めることができました。座組案や戦略ペーパーなどいわゆるコンサル的なアウトプットの作成だけでなく、泥臭い部分も含めた実務的なサポートを行い、自走可能な段階まで、痒いところに手が届く伴走支援をいただけることがアーキタイプ社のコンサルタントの強みと考えます。機会があれば、またお力添えいただきたいと思っています」
関連リンク
・サトー、シノプスとAI値引き機能で連携したラベルプリンタを業界初で提供開始
-総菜の値引き業務の省力化で食品ロス低減を支援-┃株式会社サトー
https://www.sato.co.jp/about/news/2021/release/i0o5mk00000004v0.html
・株式会社サトーとの協業開始のお知らせ┃株式会社シノプス
https://www.sinops.jp/news/ir211207sato/