関西テレビによる採用支援事業「ココすご!」「しごとドーガ」の事業化を支援 « アーキタイプ株式会社

関西テレビによる採用支援事業「ココすご!」「しごとドーガ」の事業化を支援

アーキタイプ株式会社は、関西テレビ放送株式会社が行っている新規事業創出プロジェクト「カンテレイノベーションチャレンジ(KIC)」の事務局に参画し、新規事業創出を支援しています。 2021年から、採用支援事業「ココすご!」「しごとドーガ」の事業化を支援しています。本事業はどのように事業化されたのでしょうか。両事業を担当する関西テレビ放送株式会社 コンテンツデザイン局 アナウンス部 石田一洋氏と、経営戦略局 事業戦略部 水谷勇志氏、そしてKICを担当した阿部傑に、インタビューを行いました。

テレビ局のアセットを活用して、関西の「すごい企業」を知ってもらう

――「ココすご!」と「しごとドーガ」の事業内容についてお聞かせください。

石田様 「ココすご!」は関西の“すごい企業”を紹介する就活応援メディア、「しごとドーガ」は企業を紹介するオリジナルのWEB番組を有償で制作するサービスです。企業の採用支援と学生の就活支援を通じて、関西経済を盛り上げたいという思いから立ち上げた事業になります。

私たちテレビ局は、普段から「企業の魅力や価値を発掘して、視聴者の皆さまにわかりやすく伝える」という番組も制作しています。そこで培ってきた情報伝達力と制作力が、「ココすご!」と「しごとドーガ」の強みです。加えて、関西テレビは報道機関でもあり、お伝えする情報に高い信頼性があることも他社と差別化できるポイントだと考えています。

――「ココすご!」と「しごとドーガ」は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。

石田様 関西の経営者の方々とお話するなかで、中小企業を中心に「なかなか採用ができない」とうかがったことがきっかけでした。ただでさえ人口が減り続けるなかで、関東一極集中によって関西から人材が流出しており、求人広告費もすごく上がっているのだと。

また、就活をする学生にとっても、情報が世の中にあふれすぎていて、適職を探すのが難しいという課題があります。そもそも、世の中にどんな仕事があるのか知る機会も少ない。ならば、私たちが両者をマッチングできればいいのではと考えました。

また、「カンテレイノベーションチャレンジ(KIC)」への応募にあたっては、KICというプログラム自体が盛り上がったらいいな、という思いもありましたね。関西テレビという会社が放送事業以外の新しい事業にチャレンジするのは、とても意義のあることだと思いましたので。

――アーキタイプは、どのような形で事業化に携わったのでしょうか。

阿部 KICを立ち上げる際に、制度設計の段階から関わらせていただいています。他社のベストプラクティスも共有しつつ、関西テレビ様に合った形でプログラムを設計していった形です。

KICが始動してからは、水谷さんと共に事務局として携わり、アイデアのブラッシュアップや事業計画のサポートなど、起案者の伴走支援を行ってきました。石田さんが応募された2021年の第1回では、約150件の応募があり、審査を経てPoC(実証実験)まで進んだのが6件。最終的に事業化したのは「ココすご!」「しごとドーガ」ともう1件でした。

関西テレビ放送株式会社 コンテンツデザイン本部 コンテンツデザイン局 アナウンス部石田一洋氏

早く事業にしたい思いと、社内の合意形成とのジレンマ

――新規事業の候補として採択されたあと、事業化に向けてPoCなどを進めるなかで、苦労された点などはありますか?

石田様 私自身、「とりあえずやってみよう」というスタンスだったんですね。本当にこれが世の中に受け入れられるのか、やってみないとわからない。とりあえず1回テストしてみたらいいし、かかる費用も検証のために必要なコスト……という感覚でいたんです。

ただ、自分が経営する会社ならそれでもいいかもしれませんが、関西テレビが新規事業として投資をする以上、周囲の理解も必要になります。「まずは感触を得てから考えたい」と思っても、感触を得るためには事前にいろいろな社内手続きが必要になる。こうしたビジネス周りの合意形成に慣れていなかったこともあり、「早くやらせてほしい」と、やきもきすることも多かったですね。

水谷様 事務局としては基本的に「どんどんやってもらいたい」というスタンスなんですが、事業計画や営業戦略など、どうしても議論が必要なものもあるんですね。特に営業戦略では「ニーズがあるのか」「顧客をどう獲得するのか」がネックになりますし、投資対効果も課題になるので、議論には結構時間がかかった記憶があります。阿部さんにも、アプローチの仕方を支援いただきましたね。

阿部 そうでしたね。それぞれのお考えも理解できるので、議論を整理しつつ、落としどころを見つけられるようサポートさせていただきました。最終的には、事務局や経営陣を含め、石田さんの思いもご理解いただけたかと思います。

石田様 阿部さんからは「こういう風に話すと理解が得られやすい」と助言をもらっていましたし、事業のアドバイスからメンタルサポートまで、幅広く助けていただきました。2022年オリックスvsヤクルトの日本シリーズを実況アナウンサーとして担当したときも、中継前に京セラドームから阿部さんに電話して「次の定例会でどう説明したらいいですか」って相談していましたからね(笑)。第三者の視点を持ちつつ、カンテレの事業やカルチャーも理解している相手として、アーキタイプさんに伴走していただいて良かったと感じています。

関西テレビ放送株式会社 経営戦略本部 経営戦略局 事業戦略部 水谷勇志氏

現業を継続しながら新規事業を回す大変さ

――PoCを経て、「ココすご!」「しごとドーガ」は2023年2月に事業としてスタートを切りました。1年ほど経ち、現在の状況はいかがですか。

水谷様 この1年で「ココすご!」で14社、「しごとドーガ」で9社のコンテンツ制作を受注しました。波はありますが、月1~2本のペースで成約しています。チームは私も含めて3人です。私は事務局として石田に伴走していたのですが、現在はチームの一員として、主にクライアント管理やバックオフィス業務などを担当しています。

石田様 成果としては、まだまだだと思っています。普段のアナウンサー業務と両立しながら新規事業も回さねばならない都合上、どうしてもスピード感が犠牲になってしまって。

阿部 PoCのときから、石田さんからは「体制の強化が課題」だと伺っていました。外部のパートナー企業への発注も含め、引き続き検討が必要だと認識しています。ただ、商談まで進めば受注率は高いんですよね。当初の形である紹介型を続けつつ、販売代理店の協力を得るなど、この1年を通して商談までの流れを試行錯誤している状況です。

石田様 うちみたいに、新規事業に人が割けない会社も多いと思うんです。現業を回すことでいっぱいいっぱいだけど、新しいことにも挑戦しないといけない危機感もある、というように。

そうした状況下で新規事業を立ち上げると、現業と兼務し、同時進行になるので、どうしても成果が生まれるまで時間がかかります。そこでアーキタイプさんのように、事業化に詳しい方が伴走してくださると、現在地が明らかになり、会社としても前に進んでいる実感が生まれやすいのではと思います。なにより、新規事業を進める立場としては、心の支えになってくださることが大きいですね。

水谷様 それこそ石田と事務局のあいだで話がこじれそうになったときも、阿部さんから「リモートではなく対面で話しましょう」と、大阪まで来て集中議論しましたよね。事務局として、事業立ち上げに慣れていない起案者と会社側のあいだに立ち、お互いの言葉をうまく“翻訳”してくださっていたと感じます。

アーキタイプ株式会社 阿部傑

企業を知ってもらうことで、キャリア教育につなげたい

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

石田様 もともと、KICに応募した事業内容は仕事の図鑑のようなものでした。世の中にどんな仕事があるのか若い人たちに知ってもらい、職業の選択肢を増やしてもらおうと、さまざまな職業を取材した「図鑑」を作ろうと思ったんですね。そこから、どうすれば事業化できるかを考えた末にたどり着いたのが、「ココすご!」「しごとドーガ」というPRコンテンツを作るビジネスモデルでした。

こうした経緯もあり、「子どもたちや学生にとって良いコンテンツを提供したい」という思いが常に根底にあります。Webメディアや動画、イベントなどを通じて、若い人たちの将来をより明るくするための情報提供ができればと考えています。

水谷様 KIC自体も既に2回開催され、関西テレビに合う新規事業の形を探りながら、ブラッシュアップを続けています。アーキタイプさんからは「新規事業の成功確率は千三つ(1,000のアイデアのうち実現するのは3つ程度)」と伺っていますので、この取り組みを継続していくことが大切だという認識です。引き続き、私たちをサポートしていただければと思います。

【関連リンク】
●ココすご!
https://cocosugo.ktv.jp/

●カンテレしごとドーガ
https://www.youtube.com/@user-kj3hw4ot7m

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