富士通の新規事業創出プログラム「富士通イノベーションサーキット」の事務局を支援 « アーキタイプ株式会社

富士通の新規事業創出プログラム「富士通イノベーションサーキット」の事務局を支援

アーキタイプ株式会社は、富士通株式会社が推進する新規事業創出プログラム「富士通イノベーションサーキット(以下FIC)」において、事務局の運営サポート・参加チームの伴走などを行っています。 2021年にスタートし、2024年度には5期目を迎えるFICは、どのように新規事業創出に取り組んできたのでしょうか。事務局のメンバーである富士通株式会社 斉藤一実氏、川口紗弥香氏、そしてアーキタイプ株式会社の北澤麻衣にインタビューを行いました。

「挑戦が当たり前の富士通」を掲げた新規事業創出プログラム

――「富士通イノベーションサーキット」とはどのような取り組みなのか、改めてお聞かせください。

斉藤様 まず背景として、富士通は2020年7月よりフジトラ(Fujitsu Transformation)という全社DXプロジェクトを進めています。「顧客や社会のDXをサポートするためには、富士通自身が変わらなくてはならない」という認識のもと、特にDXの「X(トランスフォーメーション)」に力点を置いて立ち上げられたものです。

FICは、このフジトラの一環として2021年11月にスタートしました。「挑戦が当たり前の富士通」を掲げ、アントレプレナーシップ(起業家のように高い創造意欲を持ち、リスクがあっても果敢に取組むマインド・スキル)の育成と新規事業創出を目指すプログラムとして始まっています。

――具体的には、どのような内容のプログラムなのでしょうか。

斉藤様 FICは、「Academy」「Challenge」「Growth」の3つのステージに分かれています。

「Academy」では、、起業家に必要なスキルやマインドセットの獲得を通じて、新規事業創出のモチベーションアップを図ります。ここで学んだ内容を踏まえて、新規事業の提案を練って応募頂き、審査を通過したものが次の「Challenge」に進みます。

「Challenge」では、“社内起業家”として本格的に新規事業創出に挑みます。社内外の有識者によるメンタリングを受け、6カ月をかけて事業計画を作り込みます。

最終審査を通過した事業が「Growth」ステージにて事業化に取り組むという流れです。4期目までの累計では、「Challenge」に約150件の応募があり、そのうち35件が「Growth」に進んでいます。


FICは、「Academy」「Challenge」「Growth」の3つのステージに分かれている

――アーキタイプは、FICにおいてどのような役割を担っているのでしょうか。

北澤 FICの事務局全体のサポートと、「Challenge」で参加者へのメンタリングを主に行っています。もともと、弊社は富士通様と2015年からお付き合いがあり、FICも立ち上げから関わらせていただきました。

斉藤様 実は、私が富士通でこうしたプログラムに携わるのは、今回が3回目なんです。その1回目のときから、アーキタイプさんには大企業で新規事業を起こすためのイロハを教わりました。「我々はあくまで事務局であり、事業を作る方々を支える立場である」という心構えからアドバイスをいただきましたね。


富士通株式会社 CEO室 DX Division シニアマネージャー 斉藤一実氏

幅広い業種業態で、新規事業創出を実現するために

――「Challenge」では、どのような流れでメンタリングなどを行っているのでしょうか。

川口様 まず応募の段階では、カスタマープロブレムフィットを重視しています。ターゲットとするお客様と、そのお客様が抱えているとしている課題がきちんと存在しているのか、一通り検証できていることを確かめます。その後は、さらなる課題発掘や解決策の検討を行い、ビジネスモデルを磨いていく流れです。

北澤 メンタリングでは、チーム毎に隔週でミーティングを設け、進捗を確かめながら事業創出に伴走していきます。「Challenge」に進んだ方は100%の工数で事業創出に専念できますし、外部の有識者にインタビューをする機会も設けられているなど、とても良い環境が揃っていると感じています。

――「Challenge」でチームに伴走するうえで、難しい点はなんでしょうか。

斉藤様 ビジネスアイデアの幅がとても広いところでしょうか。富士通という会社自体、あらゆる業種のお客様とお付き合いがあるので、FICでも業種業態にとらわれない提案があがってきます。社員数も12万人と裾野が広く、チームごとに提案内容も個性も考え方も違う。伴走するにも「型」が作りづらいなかで、アーキタイプさんはよくコミュニケーションを図っていらっしゃるなと感じます。

北澤 社員の皆さんそれぞれが何らかの専門家ですので、メンタリングにあたってはこちらが新たに学ばなければならない場面も多いですね。リサーチに時間を要することもありますが、新しい知識を得ることは非常に刺激になりますし、私個人としては楽しんで仕事をさせていただいています。

斉藤様 こうしたプログラムでは事務局が「審査する側」、参加チームが「審査される側」という関係になりがちなのですが、本来であれば「事業を作るファウンダーと、それを支援するキャピタリスト」という関係性であるべきなんですね。そのためには、互いの信頼関係を築くことがとても重要です。その意味では、チーム毎に実現したい将来像を理解して、しっかり伴走していただいているのは、非常にありがたいですね。


富士通株式会社 CEO室 DX Divisionマネージャー 川口紗弥香氏

現場の課題を吸い上げた「ボトムアップ型」の新規事業でありたい

――アーキタイプとして、FIC事務局にはどのようなサポートを行っているのでしょうか。

北澤 隔週で実施する定例会のほか、プログラムのブラッシュアップについても会話をさせていただいています。

斉藤様 5期目に向けて、現在の課題は「認知度の不足」だと考えています。弊社に限らず、こうしたプログラムは期を追うごとに応募者数が下がっていくものです。「やる気がある人を既に刈り取ったからでは」とよく言われるのですが、社員が12万人もいますし、まだ潜在層へのリーチが足りていないのではと思っています。

北澤 開始当初は、もともと新規事業に興味がある人が率先して手を挙げていましたね。これからは潜在層をいかに発見し、「やってみたい」と自然に思えるようなプログラムにしていかなければなりません。スタートから2年が経ちましたので、改めて社内へのブランディングが必要な時期に来ていると考えています。

――ブランディング以外に、現在感じられている課題点などはありますでしょうか。

川口様 事業創出に向けたマインドセットには、頭を悩ませていますね。富士通はSIerとして顧客要件に応えてきたので、カスタマープロブレムフィットというより、プロブレムソリューションフィットの考え方が根付いている印象があります。「自ら課題を発見してビジネスモデルを作り利益を得る」ということがまだ不得手なので、これをいかに意識付け実行できるかが鍵になるかと。

斉藤様 もともとFICは、「ボトムアップ型の新規事業創出プログラム」を謳っています。現場の課題は、現場で働く方々が一番よく知っているはず。ですので、経営サイドからトップダウンで取り組むのではなく、トップからは見えない現場の課題をボトムアップで吸い上げて事業を生み出すのが、我々の本質的なミッションであるわけです。

ただ、皆さんどうしても、表層的な「身の回り半径3mの課題」を持ってきてしまいがちなんですよね。事業化に値するのは、より深層にある本質的な課題なのですが、恐らく日ごろの業務では当たり前すぎて、わざわざ解決しようという考えに至っていない。そこにもっと光を当てられるように、プログラムをブラッシュアップしていきたいですね。


アーキタイプ株式会社 北澤麻衣

将来の展望は「FICの発展的解消」

――アーキタイプのサポートについて、感じられていることを率直にお聞かせください。

川口様 これまでの弊社の新規事業創出の取り組みについて、すべて把握されているので頼りにしていますね。「誰かに相談したい」と思ったとき、すぐに顔が思い浮かびます。苦しいときも嬉しいときも一緒に走り続けてくれる、心強い仲間だと思っています。

斉藤様 かれこれ6、7年のお付き合いになりますが、私にとってアーキタイプさんは、ずっと「メンター」でいてくださってますね。特にFICでは、私たち自身がメンターとして力を付けなければならず、「メンター・オブ・メンター」として多くのサポートをいただきました。引き続き、私たちと並走していただけますと嬉しいです。

――最後に、FICの今後の展望についてお聞かせください。

斉藤様 直近では、やはりFIC発の事業を形にすることですね。プロダクトリリースを控えている事業もありますので、これがFICのロールモデルとなればと思います。

川口様 将来的な展望は……実は「FICが解散すること」なんです。FICは「挑戦が当たり前の富士通」を掲げて始まりました。もしこれが実現すれば、新規事業への挑戦が当たり前に行われることになるので、FICのようなプログラムは不要になるはずなんですね。FICの発展的解消を目指して、「挑戦が当たり前」となる土壌を整えられたらと考えています。

北澤 アーキタイプとしても、最終的にクライアント様に自走していただくことを重視しています。FICにおいても、富士通の皆さまが実現したい世界にたどり着けるまで、引き続きお手伝いができますと幸いです。


FICの皆さまとアーキタイプのメンバー

【関連リンク】
●富士通イノベーションサーキット(FIC)
https://www.fujitsu.com/jp/innovation/fujitsu-innovation-circuit/

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