領域トレンドリサーチ 小売領域 | アーキタイプ株式会社

領域トレンドリサーチ

領域トレンドリサーチ 小売領域

2020/12/08

様々な業界/領域におけるテクノロジー導入トレンドを紹介する本連載、4つ目のテーマは、リテールテックとして注目が集まる「小売」領域についてご紹介します。

国内の小売市場

経産省の調査によると、2019年の小売販売額は145兆円にのぼり、2020年はコロナ影響による個人消費の縮小、インバウンドの縮小もあり、縮小する見込みではあるものの、小売市場は言うまでもなく巨大な領域です。

業態別に見てみると、スーパー14兆円、コンビニエンスストア12兆円と10兆円を超える業態も存在します。

 

 

EC化の流れ

なかでもEC化の流れは急速に進展しており、2019年には19.4兆円、前年比7.5%以上のペースで拡大しています。

一方で、分野別の市場規模とEC化率を見てみると、全体平均でも7%程度、食品・飲料は3%程度と、まだまだEC化は進んでおらず、今後もEC化の成長ポテンシャルは大きいと考えられます。

特に、生鮮品のECについては「見て、触ってみないと鮮度が分からない」という理由でEC化が遅れていた領域ですが、コロナウイルスの影響でECを使わざる得ない状況になり、消費者が試しに使ってみた結果、特に問題ないことが分かり、継続的に利用するようになるケースも多く見られます。このようにコロナウイルスによる消費者行動の変化もEC化の後押しになっていくでしょう。

EC化を踏まえたリアル店舗の変化

EC化による小売業界への影響は大きく、Coresight Research社の調査によると、米国では2019年の小売店舗閉店数が2012年の調査を開始して以来最大となる、9,302店舗を記録しており、アマゾンを中心としたEC事業者の台頭による、オフライン小売事業者の業績不振、事業縮小、破産の事例が増加しています。

さらに、2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者が外出を避け、よりECを利用するようになり、オフライン小売事業者にとっては厳しい環境となっています。

このような状況を受けて、小売の実店舗の位置づけが変わってきており、より体験価値の高い場としての実店舗活用、よりフリクションレスな実店舗での購買体験が求められるようになっています。

前者では「リテールテイメント」と呼ばれるように、単なる商品の販売・返品の場に留まらず、購買体験を通じていかに消費者を楽しませるか、驚きを与えるかが課題になっています。従来はオンライン販売のみでサービスを開始したブランドが実店舗で世界観の訴求を行ったり、今年日本にも進出したb8taを代表とする、ショールーミング型の店舗が商品を販売することではなく体験すること自体を提供価値とする流れが生まれています。

後者では、より効率的かつ手間を感じない購買体験を求める消費者のニーズに応え、セルフレジを導入した店舗や、ロボット、カメラやセンサーシステムを用いた完全無人店舗が中国や米国を中心に増加しています。また、オンラインとオフラインを統合した購買体験も大きな成長分野です。InstacartやDoordashに代表されるような買物代行、デリバリーサービスや、注文と決済はオンラインで行い、消費者自身が商品を実店舗で受け取る「クリック&コレクト」やBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)と呼ばれるサービスも普及しつつあります。さらにラストワンマイル配送を行う自律型ロボットへの需要も今後高まっていくでしょう。

世界のリテールテックへの支出

EC化をはじめとするテクノロジーによる影響が大きい小売業界では、リテールテックへの支出額も順調に成長しており、Gartner社によると世界のリテールテックへの支出額は 2019 年に前年比3.6%増となる 2,036 億ドルに達し、2022 年までほぼ同等の割合で成長すると予測されています。

従来、他の業界と比較してIT投資に対しても消極的だった小売業界ですが、EC業者の台頭を背景に競争環境が激化し、テクノロジーの活用無しには生き残れない状況になっていると言えるでしょう。

リテールテック領域の概観

このようにオンライン・オフライン共に注目のサービスが生まれているリテールテック領域ですが、具体的にはどのような領域で新しいプロダクト・サービスが生まれているのでしょうか?

リテールテックは非常に幅が広くすべてを網羅することは難しいですが、仕入、販売、デリバリーに至るバリューチェーンとオンライン/オフラインの観点で、今回は注目のキーワードを以下のように分類しました。

今回の注目領域

今回の連載では、小売領域の中でも以下の5領域に着目し、該当領域のトレンドやスタートアップ/大企業の取り組み事例を紹介、考察します。

  1. EC構築支援サービス
  2. ECにおける新潮流
  3. リテールテイメント・ショールーミング
  4. 行動分析
  5. 省人化ソリューション

 

次回は、”1.EC構築支援サービス”に関するトレンドについてご紹介します。

 

 

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