株式会社リブドゥコーポレーション様
社内新規事業創出

アーキタイプ株式会社は、2024年から2025年にかけて、株式会社リブドゥコーポレーションが手がける映像コンテンツ配信事業「こぞって」の事業化を支援しました。本事業の背景や立ち上げの経緯などについて、株式会社リブドゥコーポレーション 執行役員 陶守久美子氏、同社 ライフケア事業部 榮田良純氏と、事業化支援を担当したアーキタイプの武佑亮にインタビューを行いました。
高齢者福祉施設向けに、懐かしい映像を日替わりで配信
――「こぞって」の事業内容についてお聞かせください
陶守様 「こぞって」は、高齢者福祉施設向けの番組配信サービスです。昭和のニュースや街並み、音楽、生活文化などをテーマにした約20分のコンテンツを、タブレット端末とアプリを介して日替わりで365日毎日配信します。懐かしい映像を楽しむことで、施設内のコミュニケーションを自然に生み出し、認知機能や情緒の活性化を促す効果も期待されます。
2025年4月から一部の高齢者福祉施設で有償トライアルを続けており、この10月から本格的に全国展開を開始しました。映像素材は関西テレビ様から提供を受けています。

――「こぞって」は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
陶守様 発着想は、当時私が通っていた事業構想大学院在学中です。時代と共に働く環境も変化していくなかで、改めて自分を鍛え直そうと大学院に入学したんですね。そこで、授業の一環で構想した新規事業案をどうしても実現したくなり、修了研究のテーマにしました。これが「こぞって」の原形です。
修了研究にあたり、フィールドリサーチを行う必要があり、弊社の会長に相談したところ「関西テレビ様に声をかけてみたらどうか」とアドバイスをもらいました。弊社は関西テレビ様で放映中の『関純子アナのゴーゴー体操』のスポンサーをしており、ビジネス上のつながりもあります。関西テレビ様に協力を打診したところ好感触で、その次の打合せで武さんにお会いしたんですよね。
武 そうでしたね。当時、アーキタイプは関西テレビ様の「回想法シアター®」の事業立ち上げを支援していました。陶守さんのアイデアは回想法シアター®とも相性が良く、関西テレビ様としてもチャンスと捉えたようです。そこで、関西テレビ様から改めて陶守さんと話し合う場を設計して、場を取り持ってほしいという依頼を受けました。
陶守様 私はフィールドリサーチの協力をお願いしたつもりだったので、武さんから「どこを目指しますか」と言われて驚いたんです。事業構想の授業みたいだなと(笑)。これは本気で事業化を目指す態勢だ、と背筋が伸びる思いでした。
武 陶守さんのアイデアは「高齢者福祉施設ごとに最適化された映像パッケージをAIが編成し、配信する」といったものでした。初期段階からAIが必須かどうかも含めた事業ロードマップ、初期ターゲットユーザー、コンテンツの長さや内容、映像配信の仕組みなど、具体的な部分を詰める必要がありましたので、その後は関西テレビ様も交えた定期ミーティングを重ねながら、それぞれの論点をクリアにしていきました。
陶守様 武さんに「この事業が成功したとき、陶守さんはどのような立場でこの事業に携わっていますか?」と聞かれたのを覚えています。私が「代表ですかね……?」と答えると、「では、そのつもりでやっていきましょう!」と背中を押していただいて。そこでエンジンがかかった感触がありましたね。

株式会社リブドゥコーポレーション 執行役員 陶守久美子氏
マイルストーンを整理し、実証実験までの道のりを提示
――その後、「こぞって」の事業化はどのような流れで進められたのでしょうか。
陶守様 武さんと初めてお会いしたのが2024年4月で、その年の夏に実証実験をし、2025年度よりサービスインという流れです。武さんに事業化までのマイルストーンと役割分担を整理していただいたおかげで、スピーディーに話を進めないと、サービスインまで間に合わないことが徐々にわかってきました。
まずは2024年夏の実証実験に向けて、関西テレビ様はコンテンツ制作に取りかからないといけませんし、私たちは協力いただける施設を探さないといけない。すぐに弊社の事業部長と営業本部長に相談したところ、「面白いコンセプトだね」と快く協力してもらいました。既存事業に依存する構造から脱却しなくてはという機運が、社内にも高まっていることを感じました。
――実証実験はどのような形で行ったのでしょうか。
陶守様 実証実験は1ヵ月間、2施設で行いました。オンラインで映像を配信する仕組みはまだなかったので、関西テレビ様が作った映像のファイルをUSBメモリに入れ、高齢者福祉施設まで直接運ぶことにしました。3日から1週間に1回のペースで映像を差し替えにいき、その場で映像を流している様子も見せていただきました。
1ヵ月後、実証実験が終了すると入所者の方から「なくなると困る」「その時間を楽しみにしていたのに」という反応をいただきました。職員の方からは「映像を流す時間になるとみんな集まってくれるので、こちらも助かる」という声もありましたね。
武 実際に私も高齢者福祉施設へ同行し、放映時の様子を見たり、施設の方へのインタビューに同席したりしたのですが、必要とされる価値のあるものだと強く感じました。1ヵ月の実証実験を通じて、施設の皆様に生活の一部として浸透していたんです
フレキシブルな提案で、スピード感のある対応を
――実証実験を終え、2025年度のサービスインに向けて残された課題には、どんなものがあったのでしょうか。
武 コンセプトやコンテンツといった部分は問題ないことがわかりましたが、事業として運営していくための仕組みは整備する必要がありました。実証実験では1日分の映像を人力で用意していましたが、今後の効率的な運用を想定すると、自動的に映像パッケージを編成する仕組みも考えなければなりません。開発や運用において、関西テレビ様とリブドゥコーポレーション様がどのような座組で取り組むのかも、仮説を作って議論を交わし、最終決定する必要がありました。
陶守様 座組に関しては、事前に私のほうで収支計画を含めて3パターンほど用意し、弊社のキーマンとなるような方々に相談して、感触をつかむようにしました。榮田には2024年9月から活動に加わってもらい、収支シミュレーションなどを作ってもらいましたよね。
榮田様 そうでしたね。関西テレビ様の判断材料にしてもらうために、たくさんパターンを作ったので、個人的にも勉強になりました。
武 作成途中の収支シミュレーションを携え、何度かご相談いただきましたよね。

株式会社リブドゥコーポレーション ライフケア事業部 榮田良純氏
――映像編成や配信などのノウハウは、もともとリブドゥコーポレーション側にあったのでしょうか?
榮田様 まったくありませんでしたね。時間をかけて編成の仕組みを開発する選択肢もありましたが、ノウハウを持つ企業ならすぐ実現できるビジネスモデルでもあるので、やはり2025年4月には配信を始めたい。限られた時間の中で実現できる方法を模索していこうと、社内で心当たりのあるものを探し、最終的に4月の有償トライアルはデジタルサイネージ(電子看板)を用いた配信を行うこととしました。4月から10月の本格稼働までの間に、タブレットの手配やアプリ開発を進めた形です。
武 リブドゥコーポレーション様はものづくり企業ですので、確かな品質のものをお届けすることを大切にする文化があるという理解です。しかし、完ぺきを目指すと、いつまでも事業が立ち上がりません。「100パーセントを目指さなくても良いとしたら、どんな代替手段がありえますか」と、関係者の皆さんにご協力いただきました。
陶守様 私たちだけで進めていたら、もっと時間がかかっていたはずです。社内から「そんな短期間では無理ですよ」と言われたら、「じゃあ納期を延ばそうか」と判断していたでしょう。武さんのような新規事業立ち上げに慣れた第三者の方が、「これくらいのスピード感で進めましょう」と取り仕切ってくれたおかげで、我々も各マイルストーンに向かって全力疾走できたのだと思います。

アーキタイプ株式会社 武 佑亮
事業立ち上げの本質を見極め、クライアントの自走化まで支援
――お話を聞いていると、事業立ち上げには社内の幅広い協力が不可欠だったように感じます。どのようにして社内を巻きこんでいったのでしょうか。
武 他のお客様では「社内を巻きこむために、説明のロジックや資料作りを手伝ってほしい」と依頼されることも多いのですが、陶守さんからはそうしたことを一度も頼まれませんでしたね。「こういうことをするためには、こういう人材が必要ですよね」という議論をすると「わかりました!」と、本当にそうした人材を社内から引っ張ってこられて。
榮田様 私も巻きこまれた側ですが、陶守は人をやる気にさせるのが上手いんですよね。ちょっとお手伝いすると、「もっとやってみない?」と誘われて、気づくと沼にはまっている(笑)。熱意もすごいので、こちらも「中途半端なことはできないな」という気持ちになります。
陶守様 長らく商品企画の仕事をしてきたので、「お客様の手元に届けてみないと、成功も失敗もない」というのが自分の原体験にあるんです。成功するのか失敗するのか、やってみないとわからないから、やらないという選択肢はない。それに、成功は失敗の先にありますからね。そのポリシーで生産本部や営業の説得をしてきたことが、新規事業にも活かされたのかもしれません。
――デジタルサイネージによる有償トライアルを経て、「こぞって」は10月から本格的に全国展開を始めています。今後の展望についてお聞かせください。
榮田様 直近では、2025年度内に全国75施設へ展開することを目標としています。将来的には映像パッケージの編成にAIを用い、その施設に最適なコンテンツを自動的に選択したり、利用者の表情を検知して反応の良いコンテンツの時間や頻度を増やしたりといったサービスへ進化させていきたいです。
また、カレーライスの映像が流れたあと昼食にカレーライスが出てきたり、メンコで遊ぶ映像が流れたあとにレクリエーションでメンコを楽しんだりなど、映像と体験がリンクした取り組みも検討しています。
――最後に、アーキタイプと伴走した期間を振り返って、率直な感想をお願いします。
榮田様 いい意味で「なにもしてくれない」ところが勉強になりました。「こぞって」は、あくまで私たちリブドゥコーポレーションの事業です。最終的に私たちで自走して進めなくてはいけません。そのゴールに向けて、武さんには要所要所で本質を突いた指摘をいただきました。
たとえば収支計画について、「ここはなぜこの数字なのですか?」「この数字を達成するために何が必要ですか?」と正面から斬り込んでくれるわけです。その指摘を受けて、我々が「このままではいけない!」と走り出す。その歩みが止まったら、また指摘をしてくれる。武さん自身が動くのではなく、私たちが内発的に動くことを覚えた半年間だったと思います。
陶守様 私からも「これは武さんの事業ではなく、私たちが推し進めるものだよ」と釘を刺したことがありました(笑)。アーキタイプさんとの出会いは偶然でしたし、こうしたコンサルタントの存在すら知らなかったので、この運命的な出会いに本当に感謝しています。武さんのお人柄もあると思いますが、上から目線ではなく、共に事業を作り社会課題の解決に挑む一員というスタンスでいてくださったのも印象的でした。私たちの「仲間」として、一緒に仕事ができたことを嬉しく思います。機会がありましたら、またご一緒していただけますと幸いです。

【関連リンク】
関西テレビ×リブドゥコーポレーション×アーキタイプの高齢者施設向けレクリエーション事業『こぞって』提供開始| リブドゥコーポレーション
https://livedo.jp/information/1706/
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